タイミングの力～カトリック伝来

Posted by admin in その他, 成功するために On 5月 4, 2009

From：森兼
１５４９年８月１５日。

一隻のジャンク船が鹿児島の地に上陸した。
その頃の日本は戦国の真っただ中。

室町幕府の権威は失墜し、
各地では有力者が名乗りを上げ
勢力争いが絶えなかった。

後に覇権を確立する織田信長は未だ
尾張の家督争いに勝利するまでには
至っていなかった。

そんな群雄割拠の戦乱真っただ中の地に
上陸したその船から降り立ったのは
カトリックの宣教師たち。

その中の一人、フランシスコ＝ザビエルは
この日本という新しい土地で
カトリックの布教活動を目指す。

当時、世界に先駆け大航海時代の先鞭をつけた
ポルトガルは世界中に植民地を獲得し、
大海上帝国を築いていた。

そして、その植民地各国に宣教師を必要としていた。
ポルトガル領インドもまたその中の１つ。

ポルトガル王よりインドの宣教を依頼されたイエズス会は
ザビエルをインドに派遣することにする。

ザビエルはインド各地を宣教し、
その後も東南アジアで精力的に宣教する。

そして、その宣教先の東南アジアの地で
ヤジロウという一人の日本人に出会う。

ヤジロウからまだカトリックの伝わっていない
日本という国のことを聞いたザビエルは
次第に日本にカトリックを伝えたいという思いに駆られる。

そして１５４９年ついにその思いは現実となり
日本の鹿児島に上陸を果たすのだった。

当初、言葉の壁や文化の違いから布教は困難を極めた。
しかし、長きにわたる戦乱に疲れ果てていた
当時の日本人は次第にカトリックを受け入れていく。

本来、人々を救うはずの仏教勢力でさえ
武装して争っていたような状況の中、
日本人たちがカトリックに救いを求めたのは
自然な流れだったのかもしれない。

ザビエルが日本から去った後も
残った宣教師たちの努力もあり
当時１０００万人の日本人に対して
推定で７０万人もの人の改宗に成功する。

そして、そのことに危機感を抱いた
秀吉や家康によってキリスト教禁止令が出るまで
着実に日本人の中に広がっていく。

人口の実に７％もの人がカトリックに改宗したのは
日本人の思想がカトリックに合っていたというのも
あるだろうが当時の日本が置かれていた状況が大きい。

当時の日本は相次ぐ戦争で荒れ果てていた。
その上、人々を救うはずの仏教すら
一つの勢力として戦いに参加していたのだった。

人々は救いを求めていたのだ。
ザビエルはまさに時宜を得たすばらしい状況で
カトリックの布教を始めることができたのだ。

そう。周りの環境がザビエルに味方したのだ。

新しいことにチャレンジするのに
良いタイミング、良い状況は存在しない。
なぜならそれは待っていても訪れることはないから。

しかし、ザビエルが戦乱の状況で布教を成功させたように
時代や環境に合ったもの、周りの状況を利用することで、
良い結果を得ることができるのもまた事実だ。

成功のために「待つ」ことは良いこととは言えないが
今、置かれている状況を最大限に活用するのは
成功者の基本的な考え方の１つだろう。

時代の流れや置かれた環境を見極め、
それをうまく活用して成功しましょう。

ーマーケティング・ディレクター　森兼

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ＰＰＳ．
ザビエルは日本人を、
「今まで出会った異教徒の中でもっとも優れた国民」
であると見ていた。

特に名誉心、貧困を恥としないことを誉め、
優れたキリスト教徒になりうる資質が
十分ある人々であると考えていたようだ。

そして、本格的に日本にカトリックを普及させるには、
まずは日本に多大な影響を与えている中国に
カトリックを伝えることが必要がと感じるようになる。

しかし、彼はその中国へ向かう途中で
道半ばにして病に倒れ惜しくもその生涯を閉じる。

今日、ザビエルは日本におけるカトリックの
守護聖人となっている

ザビエルが故郷のヨーロッパからインドへ向う
きっかけとなったのはポルトガルがアジアの各地に
海上帝国を築いていたからだ。

そして、そのポルトガルに海上帝国をもたらす
きっかけになったのはある男によって
インド航路が発見されたからだった。

当時、世界は大航海時代の中にあった。
（続く）