過去の宝物
From 古賀令子
先日ある研修会での出来事です。
知人の建設会社の社長から、突然社内研修を
依頼されたんですね。
約10人で、全員土木作業員。
「やる気なく、最近事故が多発してるので
モチベーションをアップして欲しい」
とのこと。
え~と思いながらも、日程もたまたま空いていて、
あまり準備しなくて、気軽に出かけたんです。
会議室に入って一瞬、間違えたのかと思いました。
ほとんどヤンキーっぽい感じで、茶髪で
汚れた作業着。
胡散臭い顔で私を見つめています。
社長が「ごめんな~。こんなん皆初めてなので
適当でいいよ~、よろしくな~」と言って
私一人にして、どこか出かけてしまいました。
1人残された私は、気を取り直して、自己紹介から
今日の研修の流れを説明しスタートです。
すると全員コックリコックリ、2人は大胆にも
うつ伏せになって寝てしまったんです。
一瞬ムッときましたが、一呼吸おくために
お茶を飲み、心を整えました。
引きつりながらも笑顔で座り直し
「もし差支えなかったら、
今一番不安とか、嫌だな、とか
不満など思っていることがあれば、
何か雑談しあいましょうか?」と優しく
声をかけました。
しばらくして、数人が
「人と関わることが苦手なので、この仕事を
しているけど本当はもっといい仕事につきたい」
「将来がとても不安」
「自分の中学生になる子供との会話がない」など
ポツリポツリと話が出てきました。
いろいろ聞きだすと、ほとんどの人が
中高校生の時に、いじめられた経験があり、
それ以来人間関係が苦手になっている感じです。
そして自分はダメ人間、バカな奴と烙印を押して
また言葉でも「俺はバカだから」と何度も
自分に言い聞かせています。
「良く過去と他人は変えられない,
と言われるけど過去は作り変えられるんだよ」という事と、
自分に投げかける言葉の大切さを話しました。
特にいじめにあったことでの心の変化にフォーカスして
話してもらったところ、いくつか共通点が出てきました。
いじめにあったから、一人ぼっちで、自然と遊ぶようになり、
動物、虫、草花が好きになり、石の種類、土の特徴、
気候のこととかも詳しくなったんですね。
でもそのことは、逆に彼らにとっての強み(宝物)に
なることが分かり、土木の仕事には大切な事で、
またそういう資格もあるとかで
皆で挑戦しようか、という話になりました。
皆で目標を共有することで、笑顔が少しずつ出始め、
そして、どんないじめにあったかを、皆で
少しずつ話し始めました。
彼らは過去を嫌な思い出から、そのおかげで、と
書き換えることが出来たんです。
私の周りを見回すと結構、過去の出来事に引きずられて
現在、未来に対して展望を描けない人が多いようです。
あなたも何か過去の出来事をひきずっていませんか?
もしそうであれば、一度、過去の出来事を
じっくりフォーカスしてそのことを通して
得たこと、失った事を書いてみませんか?
意外や意外、彼らのように新しい展望が
見えてくるかもしれませんね。
PS
過去の書き換えをスムーズにできるようになるためには
このプログラムを学ぶことが一番ですよ。
http://www.0stresslife.com/zrl/
古賀さんがヤンキーのお兄ちゃんに話しかけている姿がイメージできません。いじめられる、までは行きませんが、過去を引きずっているのは同じです。過去を引きずっているのは分かっても、そのことを隠れ蓑にしている自分にまた気が付いて、さらに落ち込む。悪循環です。これを断ち切るべく頑張りますので、ご指導よろしくお願いします。
誰かが本気で話を聴いてくれた経験もないのではないでしょうか?それを、このとき初めてしたのでは?少しずつでもいきいきとしていく表情が目に浮かびます♪
過去にフォーカスしていると、前に進めなくなるんですよね。
ありたい未来を描くことが大切だと、わかり始めました。
土木作業員たちに研修する古賀さんは私にとってもミスマッチなイメージですが、
結果的に良い方向に進んだようで何よりです。
私は『過去を振り返らず、前を見よう』という言葉に懐疑的です。
過去にクヨクヨするのは害ばかりですが、
過去に足を引っ張られる感覚があるのであれば、それを無視して前に進んではいけないことが分かりました。なぜならそこと向き合わない限り、ずっと足を引っ張られ続けるからです。
こういう言い方は良くないかもしれませんが、土木関係の現場の仕事をしている人は、子供の頃にいじめに遭って虐げられた経験のある人が多いというのは私も聞いたことがあります。
しかも社会的な地位が高いとはいえないから、いまも見下げられる。
土木に限らず、世間から色眼鏡で見られ続けた人は、自己意識を変えて行くことが必要なことだと思います。
「どうせ自分なんて」という考えを正すのは大変ですが、絶対に必要なことと思っております。